梅雨入りした6月の中頃になると、色とりどりの夏野菜がふんだんに登場する。とりわけ好きな野菜に 水茄子、加賀太きゅうり、茶豆がある。 水茄子との初めての出会いは5年ほど前になるが、それより以前に、農家の人が乾いた痩せた畑で水をせっせと根元に注ぎ込んでいるシーンを見た。なんだかむなしい畑仕事だなあと、いなした記憶がある。 それからしばらくして、ある飲屋で水茄子の漬物に出会ったのである。 うまいの何のって、やわらかい皮をサクリト噛むとたっぷりの水分を含んだ茄子の肉部が口いっぱいに広がった。繊細で控えめな食感に感動した。 それからは、毎年この時期になると水茄子は欠かすことの出来ない野菜となった。 キリン一番絞りのCMで一躍有名になったのが『加賀太きゅうり』である。 実力派の男優(誰だったか)が夏の縁側にあぐらをかいてビールを飲みほす。そして、バリバリと加賀太きゅうりを噛みくだく、というやつだ。 そのCMのおかげで加賀太きゅうりが店頭から消えた時があったのを思い出すが、この頃の夏はそのようなこともないし、値段も半分くらいまで下がって落ち着いている。 金沢の友人の話では、地元ではあんかけ煮にすることが多いというが、俺はこのきゅうり本来のみずみずしさと歯ごたえは生につきると思う。 茶豆の旬は八月のお盆の頃と心得ていたが、いまや茶豆もどきが六月頃から登場している。 二年前の六月、茶豆として売られていたのを買った。 「ふざけるな、何が茶豆だ。わずかに少しだけ香るだけじゃねえか」「このペテン野郎?」と神奈川三浦半島農協とプリントされた袋をゴミ箱に投げ入れた。 こんな時期に茶豆があるわけねぇだろうと分別していたにもかかわらず買ってしまった俺が悪いと反省した。 そして、去年、今年と性懲りもなく茶豆が早く食べたいばかりに同じ過ちを繰り返した。 ところがである。三浦半島あたりの茶豆生産者は見事に成果を上げているのであった。 茶豆と呼ぶにだいぶ接近して、旬の新潟茶豆の半分近い味わいを作り出したのである。そんなものはもどきで本物じゃあねぇと言ってしまえば、その通りでございますと申し上げるが、手を変え品を変え生産農家は生ける糧を求め日々、精進しているのでる。 新潟の茶豆が登場するまでのこと、三浦半島にお世話になろうと思う 大阪泉州水茄子 石川県産加賀太きゅうり 三浦半島の茶豆
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