世界中がサッカーに熱狂している六月のある土曜日に、二人の巨漢がやって来た。 身の丈は六尺をはるかに越える。 一眼で
"ラガーマン" と合点した。 一人は元慶応ラグビー部のロック(ポジション名で4番か5番のジャージを着ている)で、高木宏君だ。もう一人はトップリーグ東芝府中の現役バリバリのロック 犬飼陽生君である。 高木君は社会人になると、惜しむべくかな 潔くラグビーに決着をつけてしまった男だ。 現役を続行していれば、充分 その上のステージで活躍するであろう、と心に期していた。 だが、彼の選択は違った。 人が行なう時々の迷いと選択は、その者の宿命であるのだから、ああしたら、こうしたら、と戯言は言わない。 だからか 高木君は「俺がトップリーグにいれば こんなロック(4番)になっているぜ!」と、言わんばかりに 犬飼陽生君という東芝府中のロックの選手を披露してくれた。 静にして穏やかなる高木君に対して、現役のロックは 不逞々々しく、むき出しの野生がみなぎっている。 189cm、110kgの肉体は、ハガネの筋肉で覆われている。 日々の精進によって造り上げられた「太陽と鉄」のような肉体が 眼の前で威容を誇っていた。 この六月、サッカー選手は華々しさの絶頂にいる。 それに比べ ラガーマンは、厳しく、激しく、逞しく、も報われること少なく、ひたすら影にある。 それはこの国のラグビーの力が、世界から少なからず遅れてしまったからだが、犬飼君のような男が沢山 沢山いる。 無言で 精進 努力しているのを見守っていこうと思う。 輝ける肉体、強靭なる肉体、不敵な魂、それらがグラウンドで炸裂するプレーを 我等は望んでいる。 焼酎4本をなぎ倒した男達。 別れ際の挨拶は 生々しい少年のように 真っ直ぐでありました。 足元はよたっていたが。。。 |