はやり商売の裏側

 炭を配達してくれる若者が嘆いた。
「また、やられちゃいましたよ」 「踏み倒しです」

焼肉屋が そこかしこに開店して、ブームの感がある頃、だいぶ派手に開店・営業していた店があった。 店の名は言えぬが。

毎月、月末にはきちんと支払いしてくれたのが、3ヶ月ほどたった頃に、何だかんだと理由をつけて 支払いが遅れた。
次に、来月末一度に支払うからと言われ、しぶしぶうなずいた。
3か月分20万円の金額をきちんといただけると、中をあけると15万円だけ、あとは飲物券、料理券と称して5万円分の食券が入っていた。
出入りの業者は皆、等分に引き取ってもらっていると言われた。 
もちろん、その食券はその店以外では通用しない。 しぶしぶ15万円とその食券を受け取った。
そして、3ヶ月たった。
店はなくなっていたという。

「新規の焼肉屋はやばいんですよ。」
「そして今度はジンギスカンです。」
「どんな店でも新規のジンギスカン店は、現金取引き以外はしないことにしているんです」
とは言え、思惑通りにいかぬが商いというものである。

炭屋の若者は 路地裏のダーティーな経済学に厳しくたたかれている。
年が新しくなって、あの店もこの店もなくなり、姿、形を変えて、はたまた人も変えて、はやり商売はつづく。 
したたかに悪をのりこえる闇の商人が確かにいるのである。

「婆娑羅」さんみたいな店ばかりだと、本当に楽なんですがねぇ」
若者はつぶやいた。

が、この店だって いつ、なん時 姿を変えて闇の商いに引きずり込まれるか解らぬ。 それ故に水商売、河原者の商いと言われるのである。

◎ いよいよ寒さが強まり、加えて雪害、だからこそ、能登のカキはこれからがうまい。


◎ 一月に入り、カワハギがよく市場に顔を出す。 これは今朝仕入れたもの


追記
 沢庵が出来上がりました。 自画礼讃する程おいしい!


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