ノロ ウィルス

 能登から直送の カキは 午後の3時頃にくる。 3月 4月には ますます充実して ふっくらと成長している。 着いたばかりの カキを味見のため ひとつ取り出し 殻をむいた。 豊かに育っている。 口にほうりこむと 海の塩っぱさと カキの味が 口の中で 溶け合い まじりあい いっぱいの幸せを ゴクリと 飲み込んだ。

 いつものように店が始まり お客さんで 混んで来た 7時頃 どうにも お腹が 痛い。 下痢をするでもなく、 シクシクと 腹の中央部が 痛い。 耐えられる痛みだが あきらかに 異常だ。
 店が終わる頃 体の節々が 痛み 熱を感じた。
 翌朝 一番に 激しい下痢があった。 病院に駆け込むと 医者は即答した。「生カキによる ノロ ウィルスの症状です。」  俺は 頷きながら 能登のカキの 新鮮な あのうまさを 反芻した。

 2週間くらいたった。 保健所からの電話である。
「ばさら の カキ が 原因 と 特定 は できませんが そちらに うかがった お客さんが ノロ ウィルスの 症状に やられている。」 と言う 内容のことだった。  そして、 もし、再び このような 告発があれば 立ち入り検査 となる と言う忠告であった。

 食べ物の トラブルは 店にとって 致命傷である。 バサラでは すべての食材について  疑わしきは 捨てる という 鉄則で やってきました。 だから この時点で 能登のカキは中止にしました。 
 いつもの年なら 四月こそ うまい 逸品なのであるが

 またしても 眼にみえぬ ならず者に 生存が おびやかされている。
そして 無限に 散らばっているのだ。


今朝の市場の買い物





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