串焼きの食べ方

 「どう食おうと 俺の勝手だ。」 と言われれば、はい ごもっともです。 と二の句がつげない。 近頃、串焼きの食べ方が変わってしまった。 じっくり心をこめて 焼き上げたもつ焼きをさしだすと、皿を受け取るやいなや 串を左手に持ち 右手のハシでバラバラにはずし ほぐして行く。 皿の上には無残に解体されてしまった肉片が散らばっている。 本来、串焼きとは串に刺された状態のまま 口にはこび ほおばる かみくだくところにその良さがある。 せっかく美しく刺し 焼き上げたものを 何故、散らかしてしまうのか。 
 それを見るようになったのは 4・5年前ころか。 女の人にそれが多かった。 おそらく 串をいきなり口にはこぶという所作を 上品ではないとする奇妙な美意識からだと思う。 ついでに言えば、小魚の丸干しをハシの先でほぐして 口にはこぶのも同じである。 この大いなる勘違いの美意識を こんどは男達がマネをはじめた。
 男達は何人かで来る。 一皿を注文すると それをバラしてハシでつまんで食べる。 「おれはタンを食べる。」  「じゃあ、おれはナンコツにする。」 と言うのが かっての自然な光景だった。 しかし、“俺”という主体をさらして タンやナンコツが欲しいと言わないのである。 同席の仲間をおもんばかってか遠慮が遠慮をという息苦しい様子なのです。
 ならば、「おれはナンコツが食べたい」 といって串を手にもって 口にはこぶべきである。 そんな男がひとりいると いきなり宴は踊る。
 ハシで小魚をほぐして食べる男など いい女は断じて惚れない。 ながい飲み屋稼業の経験からえた原則である。 串の食べ方も もとのように戻ってと念じる次第です。

追記
 いまわしい眼病でした。友人のヴァイオリニストの導きで眼科の先生を紹介していただきました。 その先生の治療によってぐんぐんと快方にむかうことができました。 やっかいな病をかかえた時 セカンド・オピニオンは本当に必要です。
 その先生は 東海大学附属病院の小野眞史先生です。 病状の説明、治療の方法、そして、もし悪化したばあいの その先のどうするかまで、実にわかりやすく、ていねいに説明していただきました。  もし、やっかいな眼病で難儀しているなら小野先生をたずねることを おすすめします。 ただし、その時はヴァイオリニストの導きが必要です。 
 そのヴァイオリニスト 数学や統計学、音声なども遊びにしていて、一体なにを生業にしているのやら、、、、。この人の本職 飲酒業ではないかと本気で考えてしまうことがある。

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