酔乱 女ふたり

 静かに酒を楽しんでいるフゼイであった。 ひとりが語り ひとりが受けるという よくみかける女同志の酒である。 こんなに飲んで大丈夫かなと案ずる程 飲んでいる。 しかも、色々な種類の酒を注文してくる。
 「ずいぶん強いですね」と言葉をそえた。
 「ふつうです。」と女ふたり。 そんなふつうはねえだろう、と内心思ったが言葉をのんだ。 やがて、語る方の女のボルテージがあがって喋り言葉が乱暴になっている。 自説に酔い、聞き役の女に向かって「な、そうだろ」 「な、そうだろ」とつめよっている。 こうなったら、たいがいの酔っ払いは 明日なき暴走にむかうだけだ。 このあたりで止めてやるのが飲み屋の親切かも知れない。 それは人による。
 この手の女はダメだ。 親切には毒舌で挑んでくるばかりだ。 だからのぞむがままに どんどん飲ませる。 そして、ろれつが廻らなくなったあたりで切るのである。
 もはや、あたまも身体もおもいにならず、したたかな聞き役の女に支配されるにいたるのである。 このふたりの女の優位性が逆転したところで酒盛りは終わる。 ふたりの女は ヨタヨタしながら店を出ていった。
 そのあと、ふたりはどうなったか知らない。

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