日曜日の黄昏時、よく自転車で西荻に出かける。 北口からすこしの所に玉の湯という銭湯がある。 古い建物であるがよく手入れされ、銭湯としてのあらまおしき姿がある。 小さな庭の池には金色と赤にかがやく立派な鯉が五匹、悠然と泳いでいる。 風呂上りの熱い体を冷気にさらしながら、あざやかな色彩の魚体をめでる。 奇妙で不吊り合いな自分を思いながらも、深く魅せられている。 そして、銭湯を出る。再び自転車をころがしながら、「えびす」という大衆酒場に行く。この大衆酒場という言い回しが好きである。 安っぽく、猥雑で酒飲み野郎をしこたま酔わせる。 この「えびす」はその大衆酒場をたっぷり具現している。 だから、料理はがまん出来るほどのうまさでよい。無礼で卑猥なことばが飛び交っていてもよい。 めくるめく喧騒とたばこの煙が渦巻く。それが酒の酔いを倍加させる。ひとり酒を飲む男にはには至福の時げある。 そこに去来するメロディー いつのころからか 「アンジー」ではなく 「カスバの女」に変わってしまいました。 さあ、今夜はこのくらいで切り上げようとたちあがった時、完全無欠な酔っ払い野郎になっていました。 はたして、自転車で無事に自宅までとどくやら、、、、。 |