元旦といったて何事かをなさねばの立派なかんしゅうがあるわけではない。 息子夫婦がやって来て、少しは正月らしく盛りあげて 「かんぱーい」 などとあいさつをしている最中に家はゆれて 「どうですか、会社の方のケイ気は順調?」 なんて、とりとめもないセリフをやり取りしていたら、 「日本海側のノトハントウが震源でシンド7.5」 などと速報している ほんの少しのいたずらか誤報で、後に津波の心配はありませんと、テロップが流れる。 だが、そうではなかった。 マガマガしい正真正銘のは破壊の暴力であった。 人の住まないこわされた家が津波にのまれて、ゆらゆら流されて行く。 住んだ人の心ものせてか・・・・。 六帖の部屋にベットをおいてねている。 早朝六時にでかいゆれが、ドーン、ドーン、ドーンと3回やって来た。 家の中の家具はとびはねてバラバラにそこかしこにたおれている。 うす明りの中で部屋のようすを見る。 俺は生きている。 上下左右の位置がわからない。 外の風がない。 息が苦しくて早く外に出たい。 ベットの下にいるみたいだ。 その下に何やらでっかい箱のようなものがのしかかっているらしい。 いまは無事だが、もし火事が起きたら俺はここから出られるのだろうか。 きゅう助の手が俺をさがしているだろうか。 俺がこんな暗い、せまい物置のような所にいるなんてだれも気付いちゃいない。 ああ、息苦しい。 それに、小便がしたくなっている。 小便まみれは嫌だ。 人に発見された時、みっともないだろ! 失禁してしまえば、嫌もいいもない。 二階部屋に寝ている妻は無事だろうか。 大きな家具におしつぶされて意しきを失っていたら、俺が助けに行かなければ、である。 そうこうしているうちに 「失禁だぁ」 と叫んで事は切れた。 家はこわされ、津波にのまれ、家財の一切合さいを失う。 こんな、タアイのない夢、誰だって見るけれど、正月の初夢にしてはいたずらが過ぎる。 津波や地震、その次なるは火災か。 次々と悪霊の矢が飛んで来る。 世界のいたるところで又、新しい戦火が暴発する。 自然災害だけではない。 忌まわしい戦火の何んと巨大で残虐な事よ。 一体、火をつけている奴は何者! 祈 平和・平和・平和 大澤 伸雄2024.2.3 |