この夏、新潟の北部沿岸から岩かきの入荷があった。 このかき岩の下の方に固着している。 手のひらくらいの大きさがあり岩そのもののように厳めしい。 しかし、殻は大きいが身はそれほどに大きくない。けれど、その味わいは濃厚で歯ごたえを感じさせる。 養殖のそれとは似て非なる快楽である。 夏が旬であるから、それぞれの土地で夏かきとして賞味されている。 それが、いかほどの値で食することが出来るか知らない。 婆娑羅では、小さい牡蠣で三百円、大きめのもので5百円とした。 おそらく、東京あたりでこの値段はまずあるまい。 それでよい、こうした旬のめずらしいものは、時に利からはずれてもテイキョウしよう、 私のいきがりであります。 そんな、岩かきの夏ももうすぐ終わりです。 追記 いよいよ、秋刀魚の季節。 苦節20余年、とうとう、ようやく、開眼、会得しました。秋刀魚の美しく、こんがりと、おいしく、焼き上げるその業を。 その詳しくは教えるは出来ません。 故に、婆娑羅に来て、私が精魂こめて焼き上げる秋刀魚を眺めて、その業を確かめて下さい。 |