本日、東京のコロナ感染者716名だ。 4月に事態宣言が出された頃の数字と同じだ。 人々の暮し、日々の仕事に何にくわぬようにして、普通に生きていりゃあ大丈夫なんだぁと言いきかせる。 しかし、果てしない静かな制約、いつやむかわからない終りない不自由。 我等、人間の暮しに立ちはだかる見ることのないコロナ、触れることのないコロナ、だから時折りには斜にかまえて、悪ぶって 「コロナよ! お前ら、インチキ野郎じゃねぇのか。」 と捨てゼリフを吐いてからむ。 どこに眼をこらしても見えてこない。 見えないから人間は油断だ。 警戒ばかりの人間なんて了見が狭くって付き合いなんてえまっぴらごめんだ。 ということで油断と警戒の不連続に疲れちゃった。 なのです。 我等、下々の者は部屋の片隅でヒザをかかえて 「どっかの飲み屋に言って一杯、酒が飲みてぇなぁ」 とか 「うまい鳥の唐揚げが喰いてぇなあ」 とか、腑抜けの独り言を言ってなぐさめられるけど、われらが、都(みやこ)のジャンヌダルクは疲れを知らぬ超人的ウーマンだったのに、倒れた。 生身の人間、いかに元気ハツラツでどんなダメージにも屈服しないゾと言っていたって、パンデミック大戦争の先頭に立って指揮を取ることの苦労は理解をこえて目まいを覚える。 なのに、俺たちときたら、ワクチンは済んだか、とか注射は痛かったか、とか給付金はまだかとか、商売ができなくってお辛いでしょうね! などなど、いっぱいのたわいなき冗舌の中で毎日のコロナと暮しているということだ。 そこで、先月とうとうワクチンの日が来た。 接種券があるということで色々な場所を選ぶことができる。 ワクチン接種はインフルエンザのためということで二年前に打った。 そのおかげであったのか、風邪にやられることはなかった。 今回のワクチンは人類史上に残る最大の接種イベントだ。 その、たわいない少しの興奮を内にひめ、東西線にのって大手町の大会場に向った。 駅から会場へは多くの係員の方々が手まねきして、何にやらの客をみちびいているようにやさしく親切である。 グループごとにコースが仕切られ、我等はそれにそって流れ、前の人に続いていく。 ムダや間違いは一切なく整然と接種は終了して最終の観察室での15分の待ちあいで終る。 おおよそ30分はすみやかに進行。 自衛隊的いかめしさを予測していたのに、その会場はスマートな仕事としっかり計画された精度の高い大接種を経験させていただいた次第です。 大災害での医療現場での規律とはいかなるものかの少しを見たような気になり、これで対コロナ、我が体の中で一歩前進なのかなぁー。 店、再開して2週間だ。 5時開店、酒の類は7時に御禁制となり8時店終了。 あわただしくグラスに残った酒を飲みほして店を出るという具合です。 “もっと、もう少し、ちょっとでいいから!” と、ごねてねだる者なし、もっといろよ! もっと飲んでいかないの! と、ここのあるじの方がごねそうだ。 ジャンヌ・ダルク ゆり子さん! 2021.7.4 大澤 伸雄 |