ああ ことしも終わる。 こうなると、色々なさねばならぬことがいっぱいあるぞ。 12月のはじめに干し大根を20本ほど漬けたゾ。 スダチやユズをバイトのみんなに頼んでしぼり、特製ポンズにしたてたゾ。 平成30年度のバサラカレンダーも印刷所から届いたゾ。 カウンターの座ぶとんも新しくとりかえた。 そして、今日は大ソウジだ。 たよりになる多くの若者がやって来て さあ開始だ。 一年分のホコリとアカと油汚れとの戦いだ。 風の冷たい日曜日だけど、若者達はハツラツと気前よく、自分のたんとう部所をどしどしときれいにしてくれた。 嫌な顔もせず、手を抜かず、だれもがムダな話しをせず、せっせと手と足と全身でもってバサラをきれいにしてくれた。 今年は秋に 店の中心で働いてくれている三木君が バイクのもらい事故で大けがした。 でも命は無事だった。 何にしろ東名高速でのことだから、こいつは奇跡だ! 永生きを保証されたようなもんだと喝采した。 全体では ささやかな一年の流れだ。 それがよい。 人々は いたるところで むごたらしい自然の狂暴になぐり倒され、ゆるやかに暮らしていた日常が いきなり切断される。 ああ いやだ、ああ おそろしい、と言ったところで、ふせぐ手立てはかんたんにない。 だから、おおソウジに気前よく働いてくれる若者を大切にしたい。 わざわいにそなえ、わざわいとたたかうに及ぶとき、若者の力は絶大だ。 これは老いに入った者の悪知恵なのだが、そこは あんまり さとられないように静かに振る舞う。 若い頃には 正月なんぞどうでもいいやぁという気分でいたから、神社 仏閣に出向き頭を下げたり、手をあわせたりは あまりして来なかったが、どうも女ができたりすると男は しんみり殊勝にふるまう生き物らしい。 俺も連れ出されて 神社に行くようにならされていた。 だが、ここ数年前から墓参りが好きになっているのに気がついた。 そうだ、年の瀬のなすべきことが済んだら 花屋に行こう。 初墓参りのために。 そっと、誰にもさとられないように。 老いとはこういうことだったのか。 と はっきり認めた。 12月は29日が最終営業日です。 |