随分と昔に耳にした名曲と遂に再会することが出来た。六月の雨の朝、魚市場からの帰り。車のラジオからそれは流れた。タンゴである。古めかしい、妖しげな、かすれるような音。ヴァイオリン、ギター、アコーディオンそしてノスタルディクな男の歌声、時を超えていきなり現れたそれは、カルロス・ガルデルという男。 ガルデルは1930代に活躍したタンゴの作曲家、歌手、そして映画の役者。今日で言う多才なエンタテイナーという人である。 夜とタバコの煙、酒と女と欲望うずまく場末の闇、退廃の香りに酔いしれる。そして、そこにカルロス・ガルデルの歌うタンゴが流れる。婆娑羅はそんな処ではないけれど、ガルデルの歌声だけでも感じ取ってください。 芋焼酎にモツ焼き、チャンプルにガルデルの歌うタンゴ。 さて、あなたはこんな婆娑羅の乱雑、混沌の中で安らぐ事ができますか。 美は乱調にあり。 |