再び熱狂、Rolling Stones

 誰れもが避けて通れぬ思春期の苛立ち、訳もなく沸々と湧き起こる怒り。
 より良く生きたい、より深く生きたい、という思春期の直情に振りまわされるからだ。

 そんな頃、荒々しい暴力的なストーンズの音と出くわした。 あいつらは俺の前で
  「黒くぬれ!」 「夜をぶっ飛ばせ」 「I can't get no satisfaction」
と、叫びまくり、容赦なく打ちまくった。 俺はいざなわれた。 そして、そそのかされ、純情な若者は音の暴力に屈し、心をあずけた。 その音楽は心を満たし、激しく挑発してくれた。 だが、生ける糧にはならなかった。

 俺はストーンズをいつも身近に置いた。 いつでも聴いた。 幾度となく踊った。

 そして、四十数年の時が経った。
 時の流れのうちに、ストーンズはいつしか俺の血となり肉となっていたのだ。

 大画面に映し出されたメンバーのしわがれた顔、顔、顔。 生々しい老醜をさらけ出し、臆面もなくステージで暴れまわる。 だが、ストーンズは偉大であった。 完全なるロックン・ロールのパフォーマンスが創造されていた。

 俺の鼓動は高鳴り、目からは涙があふれた。
 俺はストーンズと共に生きて来た この四十数年の人生を深く肯定した。
 俺の涙は それ故だったのだ。

        “Shine a Light” 新宿 武蔵館にて。


 年末は30日まで、年始は5日から営業いたします。

 100年に一度と言われている世界不況。 果たして2009年、婆娑羅はどうなって、どこへ行くのか。

 今年一年ありがとうございました。
写真は12月の始めに漬け込んだ山形・庄内の干し大根、冬が最もうまい本皮バキです。
胆合えは最高だぜ!


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