松たけのからくり

 カナダに在住している友人から松タケが届いた。
 箱をあけると、見事にふくらんだ松タケが20本程入っている。
 さっそく我等は色々な料理にして、すべてを一晩のうちにして堪能し、たいらげた。

 控えるとか、遠慮するとかいう品位をかなぐり捨てて、その美味しさに溺れた。我等は "どこの産の松タケがどういう風か″ 知らないから比べる知覚を持ってない。 カナダ産のそれは、香り高く、奥ゆきがあるしっかりした味と、歯ごたえがあった。 たまらなく幸せであった。

 松タケの宴に饗じた終わり頃、誰かが 「これで しめていくら位だろう?」 とささやいた。 素朴な疑問である。

 翌日、松タケを沢山ならべているデパートの食品売り場に行った。
 韓国産、北朝鮮産、モロッコ産、カナダ産、そして国産と、多種彩々である。 ちなみに、岩手県産3本2万4千円とあった。 最も高いものである。 一体どこのどなたが買い取るのか知りたくなった。 知り合いの店長が、俺にそっと耳打ちしてくれた。
 「売れなくていいんだよ。オトリだから」
 つまり、外国からやって来る色々な松タケを売るためのオトリということなのだ。

 高価な国産松タケは買えないけれど、この位の値段の松タケなら買ってもいいか、という微妙な心理のゆれをつかみ取るオトリだったのである。 それ故、国産松タケは高価格にして並べ置く。やがて、しなびてしまう頃 下落して闇の取引によって市場に消えて行く、ということであった。

 物事、いたるところにからくりがある。 その程度のからくりなら、なるほど そのような次第であったか、とうなづいて見過ごす。 だが、発覚してしまった嘘つき建設集団のサギ行為は笑えないからくりである。

 尚、カナダ産は国産の松タケの10分の1であることを確認した次第です。

追記
 期を逸してしまったマツタケ話で恐縮ですが、手術をした眼の回復が遅く、ホームページの更新をなまけていたことをお許し下さい。

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